【ブランディングは知ってる人の数より質】

今日は、【ブランディングは知ってる人の数より質】というテーマで
価値を伝えるときに失敗しがちなアルアルについて
私の体験を交えてご紹介します。
Bang & Olufsenで仕事を始めた頃、
PRだけでなく
宣伝広告やマーケティング全般を担当していたので
広告代理店からいろいろな提案をいただきました。
初期の頃は、
とにかくブランドを知ってもらおうと
発行部数の多い文芸誌や一般誌の広告企画、
例えば「世界の一流品 私も愛用しています」
といった8〜12社くらいを1ページずつで
ブランド紹介&お客様の声で掲載する企画に
心が惹かれます。
これは、「ペイドパブ」「アドバトリアル」と
呼ばれる記事風にみえる有料広告です。
海外の有名腕時計メーカーや陶磁器のブランドと一緒に
ご紹介してもらえたら、もっと知名度が上がると
1ページ2〜300万円くらいの企画に年2回ほど
出していた時もありました。
これは、2つの理由で2年ほどでやめました。
1つは、本社の方針で特定のタレントを使った広告は
NGになったこと。
2つ目は、ある年の掲載誌に、
当社のブランド紹介ページの前後に
有名だけど割と一般的なお菓子や日用品のブランドの
掲載が続いたこと。
私が伝えたいと思っていたお客様の世界観
こんな家に住んで、こんな鞄を持ち、
こんなファッションで
家族との時間をこんなリゾートで過ごし、
家ではBang & Olufsenの音楽を楽しむ…
その世界観と大きくズレてきたと思ったためです。
1つ目の特定のタレントを使った広告が
NGになったことについても
手痛い経験をしました。
インテリア雑誌への持ち込み企画で
実際のお客様のタレントさんのご自宅を撮影させていただき
どんなふうに楽しんでいただいているのかを語っていただく
定番の企画として、企画そのものはその後も長く続けました。
有名人の登場は1回だけで終わりました。
それは、その記事が出たすぐ後に
その方が関与された事件が起こり
マスコミに大きく取り上げられたことがあったからです。
自宅訪問インタビュー記事だったので
影響は少なかったのですが
自社のブランド広告で
Bang & Olufsenといえば〇〇さんというイメージが
固定されるようになっていたら
大打撃だったと思います。
その後、いろいろなタレントさんの事件が
報じられるたびに思い出す出来事です。
【ブランド浸透は量より質】
日本進出から数年を経て
欧米でBang & Olufsenと出会い
日本でも愛用してくださるお客様が増え
お客様と直接お話をする機会が増えました。
お客様と話していて
お客様がBang & Olufsenと出会えたこと、
そのおかげで毎日楽しく生活できる
知らない友人を家に招いて紹介することが
嬉しくてたまらない
そんな言葉の端端に
ブランドへの愛着を強く感じるようになりました。
どちらにしても
相当の高級品(スピーカーまでいれると100万円以上)だったので
買いたくても買える人は限られている
それだったら
大勢の人に知ってもらうより
本当に大好きになってもらえる人たちに
もっともっと好きになってもらえるような
ストーリーをお届けしよう
そう考えるようになりました。
これが、ブランディングに目覚めたスタートです。
よくイメージしていたのが
「渋谷のスクランブル交差点にいる100人の人のうち
Bang & Olufsenを知っている人が一人しかいなくても
その人が大好きと言ってもらえることが一番大事」
発行部数の多い雑誌に広告費をかける代わりに
ブランドストーリーの特集記事を書いてもらうため
本社を訪問するプレスツアーを企画したり
お客様向けの展示会やホテルのスイートルームでの
音楽会を開いたり、世界観を伝えることを繰り返しました。
そうすると、
まずライターの方、編集担当者がファンになり
新製品が出るたびに
より深いブランドストーリーを
描いていただけるようになりました。
お客様も
知る人ぞ知るブランドを
ご自分が愛用していることを嬉しく思い
どんなにすばらしいブランドなのかを
ご自分の言葉で語っていただけるようになります。
まさにお客様が最良のセールスマンということです。
既存のお客様を大事にすることによって
ロイヤルカスタマーの維持だけでなく
新規お客様獲得にもつながります。
私が一番恐れていたのは、
マスコミに持ち上げられて
一時的なブームになり
「バング&オルフセンってデザインがいいから高いんでしょ」
「BO(ビーオー*)はデザインがいいけど音はどうなの」という
にわかファンや評論家が増えることでした。
*当時ブランド名もちゃんと読めない人も多くいました。
「知らない人は知らなくていい」
「好きな人・分かる方に知っていただきたいことをしっかりお伝えする」
そのスタンスをしっかり守り続けることが
ブランディングにとってとても重要です。