【価値を伝えるマーケティング】

【価値を伝えるマーケティング】
初回は、私がいつも大切に言っている言葉
「価値を伝えるマーケティング」について
私の想いをお伝えします。
この言葉は、独立してから自分の仕事を説明したり
前職の体験を話すときによく使っています。
5 STEPSでもお伝えしましたが、
私は、
前職でデンマークのBang & Olufsenというブランドの
日本進出時から27年間、マーケティング責任者として
「お客様にブランドの価値を伝える」こととしてきました。
価値を伝えるって言っても、何をすればいいの?
退職して11年になりますので、もう40年近くの大昔のことです。
当時、日本には、高級オーディオブランドがたくさんありました。
オーディオを扱っていながら
私は全く業界のことを知らないまま
テクニカルなことも知らないで
27年過ごしてきたので
とんちんかんな表現もあるかもしれません。
オーディオブランドといえば、
山水、ナカミチ、ケンウッド、アキュフェーズ
大手家電・楽器メーカーでも、ヤマハ、日立、テクニクス、ソニーとか
名だたるメーカーが凌ぎを削っていました。(敬称略です)
日本進出の1982年は
ソニーがCDプレーヤーを発売した年です。
その後、気軽に音楽を楽しむファン層は大きく広がり
いわゆるオーディオマニアではなく、
音楽を楽しむ人達がどっと増えました。
当時、Bang & Olufsenを扱っていたのは、
東京の高級輸入家具・家電を扱っていたヤマギワさんや
地方のオーディオ専門店が中心でした。
その時、よく言われた(直接ではなく、営業からのまた聞き)のが、
「オーディオ大国 日本にデンマークの名もないメーカーが何しに来たの?」
「1年も持たないよ」
でも、Bang & Olufsenより先に
1990年代に撤退したのは、日本の大手オーディオメーカーでした。
Bang & Olufsenは
日本支社から代理店になったりの変遷はありますが
今でも世界中でオーディオだけでなく映像機器も含めた製品を
提供し続けています。
実は、1982年の日本進出当時に
Bang & Olufsenの社内では、
”HiFi is Dead”という
標語やイメージポスターが掲げられていました。
最初からオーディオマニアの市場は目指していなかった。
だから、オーディオメーカーと同じ市場では戦おうとはしなかった。
高級なオーディオ製品なので、
よくターゲットはオーディオマニアと間違われるのですが
全く違います。
オーディオマニアの方々が好むハイエンドなレコードプレーヤー、
スピーカーなども出していたのですが
ターゲットは、音楽を好きな方たち。
必ずしも、音楽が好き=オーディオマニアではありません。
当時も今も同じかもしれませんが、
お客様は
音楽や映像をできるだけ生で見ている・聞いているように
楽しみたいと思っています。
だからと言って
全てのお客様がオーディオに詳しいわけではない
ただ、良質の音楽をよい環境で楽しみたい
そんなオーディオ機器が
オーディオ大国の日本にはなかったんですね。
オーデォオマニアのご主人を持つ奥様が
ご主人の留守中に
好きなオペラを聞こうとしたけれど
どのボタンを押していいかわからず
結局聞けなかったとか
触ったら後で怒られたとかよく聞きました。
オーディオルームは
いろいろな機械やケーブルがごちゃごちゃしていて
音はいいけど、くつろげないというのも共通ですね。
大好きな音楽を
いつでも聴きたい空間で
大事な人たちと気軽に楽しめたい
オーディオはわからないけど、いい音質の音楽を聞きたい
というニーズがあったんですね。
これは、日本だけでなくヨーロッパも同じです。
ですから、ヨーロッパの人に愛されてきた
Bang & Olufsenを好む人が日本にもいるはずだと
数年前からデンマーク商社を通じて販売を始めていました。
最初から、
Bang & Olufsenは
オーディオの知識はない
だけど最高級の音楽を求める人のために
作られています。
アンプやスピーカー、レコードプレーヤーを
一度つないでしまえば
レコードを聴きたい時には「Record」ボタンを押すだけ
ボリュームの上げ下げやシステム全体の
スイッチオフもボタン一つ。
これは、CDプレーヤー以前のオーディオ業界では画期的なことでした。
もちろん、生の臨場感を味わえる音質、
そして家庭のリビングルームにあっても
違和感のないシンプルで品の良いデザイン
音楽好きの人・家族が、自分の好きな空間を、
いつでもボタン一つで手軽に最高級の音楽で満たすことができる
一緒に暮らすことが楽しい人生のパートナーのような存在
それが、Bang & Olufsenの提供価値でした。
よく使っていたキャッチフレーズが
「技術はひとのために」
難しいことは全部機械に任せて、そのために技術があるのだから
そんな考え方です。
だから、オーディオ業界や技術を知らない私でも
PR・マーケティングができたんですね。
逆に業界を知らないことが価値でもあるわけなんですね。
お伝えしたのは、
お客様の声、お客様の世界観。
実際にご自宅でその空間を撮影させていただき、
お客様がBang & Olufsenとの暮らしを
どんなふうに楽しんでいらっしゃるのか
お伝えすることで
共感する方が次のお客様になっていただけるわけです。
さて、古い話を長々とさせていただきましたが
今でも同じようなことで
大手に向かって厳しい戦いをし続けている会社はたくさんあります。
でも一方で
強みをいかした製品開発と
それを正しくターゲットに伝えることで
お客様の注文待ち何ヶ月という会社もありますね。
さあ
あなたはお客様に提供している価値を
どのように伝えていますか?